言語創作と創作世界(寄稿)

人間を取り囲む世界と言語

では本題に入っていきましょう。
言語というのは、コミュニティで生活するうえで迅速に伝える必要がある概念を直ちに伝える道具です。
そして仕事によって使う道具が違うように、コミュニティによって必要な言葉も変わってきます。
では、ここで羊を例に見ていきます。

  • ram 雄羊
  • ewe 雌羊
  • lamb 仔羊

上記は古英語、ゲルマン語の「羊」です。
ゲルマン人は紀元前から定着農耕と牧畜を行う民族だったと言われます。
牧畜を行う民族であったからこそ、羊が雄か、雌か、子どもかを区別する必要があったのでしょう。それは単語に現れています。
英語における「牛」でもcowとoxは区別されます。

では逆に日本語の、英語に対する特異性を見ましょう。
英語で姉・妹のことはsisterと言います。特筆して姉を指すならbiggerやolderを使うでしょう。
しかし日本語では先に示したように、「姉」と「妹」は明確に分かれています。
同様に兄や弟もそうですが、これも英語ではbrotherとしか言いません。
日本は年功序列を重視する文化です。そうした民族性から、きっと長幼を区別する必要があったと考えられます。

逆に、英語と日本の言語的共通点を見つけてみるのも面白いでしょう。
英語の発祥国イギリス、それから日本の二国は比較的湿潤で、雨の多い国として知られます。
一語で雨を表現する語彙は明らかに日本語が勝るのですが、英語でも雨を表現する語彙自体は豊富で50種類を超えるとも言われるそうです。
遠く離れた地域ではありながら、似た気候であれば同じものを表現していることもあるのです。
特に人間の身体に起きること、例えば腹が鳴ることなどは他の様々な言語でも表現があります。

こうした例に見るように、コミュニティで重要な概念は言葉が与えられるばかりか、最も簡潔に伝わる「単語」レベルで対象を表現します。
一方遠いコミュニティでも同じ概念を有するなら、重要度によってその長さは変わってきますが、表現が存在することがあります。

こうしたコミュニティの性質は、コミュニティの生活に密接に関わります。
そのコミュニティの生活は、暮らしている気候や風土にとても大きく左右されます。
あるいは左右されるばかりか、決して切り離すことのできない、関係にあります。
こうした気候や風土、文化、つまりその地に住む人々が見る風景を言語が切り分けて、「世界」を作り上げるのです。
創作の世界を作ったとき、そしてその世界に独自の言語があるとき、「姉妹」に長幼の区別があるかを考えてみてください。それだけで一つ、世界を見る目が変わると思います。

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